
- 議案第33号:墨田区旅館業法施行条例の一部を改正する条例
- 議案第34号:墨田区住宅宿泊事業の適正な運営に関する条例(新規制定)
1. 条例案の概要・パブコメ結果・主な修正点
Q: 二つの議案の要点と、パブリックコメントの結果・反映点は。
A: 本委員会報告後にパブリックコメントを実施し、多数の意見が寄せられました。主な論点は「規制強化の是非」「住宅宿泊事業の実施制限」「従事者の常駐」「既存施設への適用除外」等です。これらを踏まえ、以下を中心に修正しました。
- 周辺住民等の周知範囲:トラブル未然防止のため、10m → 20mへ拡大(両条例共通)。
- 事業者名の公表規定(住宅宿泊事業):業務改善命令に加え、業務停止・廃止命令でも公表できる旨を追記。
2. 旅館業条例(改正)の要点
Q: 主な改正内容は。
A: 生活環境悪化の抑止と事故・騒音等への対応強化を目的に、旅館業施設の規律を整備します。
- 周辺住民等の定義:敷地から20m以内に所在する建物の所有者・居住者・管理者。
- 営業者の遵守事項(常駐):施設の営業時間中、従事者を常駐させ周辺状況を常時確認。
- 構造設備基準:従事者常駐のための設備を設ける(規則で定める管理事務所等を設ける場合を除く)。
- 適用除外:施行時点で申請済・許可済の施設には、一部(構造設備等)を適用除外。
- 施行期日:令和8年4月1日。
3. 住宅宿泊事業条例(新制定)の要点
Q: 新条例の骨子は。
A: 生活環境悪化の防止と地域理解の促進を目的に、運営ルールを整備します。
- 周辺住民等の定義:同一建物・敷地内建物、又は敷地から20m以内の建物の所有者・居住者・管理者。
- 区の責務:施策の策定・周知、関係機関連携、事業者指導、交流機会の促進。
- 事業者の責務:生活環境への配慮、外国人宿泊者への外国語説明含む適正周知、廃棄物法令遵守。
- 周知・説明会:届出前日までに周辺住民等へ説明会等で周知。
- 標識設置:周辺住民等が認識できる位置に標識を提示。
- 苦情・問合せ対応:常時・迅速対応し、記録を3年間保存。
- 実施制限(家主不在型):日曜正午~金曜正午(平日)は実施不可(ただし常駐管理があれば除外)。
- 適用除外(既存届出):一部規定(常時迅速対応体制、公表関連など)を適用除外。
- 施行期日:令和8年4月1日。
4. 規制の根拠・実施制限の設計
Q: 建物種別(マンション・戸建等)別の件数や苦情は把握しているか。
A: 建物構造別の集計は未実施。地域別は把握しており、一部地域で苦情が多い傾向を確認。
Q: 区内全域を制限対象にした理由は。
A: 用途に関わらず住宅が混在している実情を踏まえ、合理的な生活環境保護を目的に全域指定としました。
Q: 苦情の詳細分類やユニーク通報者数の把握は。
A: 現状は未整備。検証・見直しの根拠となるよう、今後データ収集・分析体制を強化します。
Q: 20m周知の運用は。
A: 事業者は説明会等の実施内容を区長へ報告。区は監督の実効性確保に努めます。
5. 既存事業者への扱い・処分手段
Q: 既存事業者への適用除外の理由は。
A: 既存の営業実態・権利への配慮、過度な財産権侵害回避、訴訟リスク等を考慮。規制適用には行政事実の蓄積が必要との整理。
Q: 猶予期間(例:3年)を設けた一律適用は検討したか。
A: 議論はあったが、裏付けるデータ不足により見送り。
Q: 処分として過料ではなく事業者名公表を選択した理由は。
A: 低額過料の抑止効果の限界を踏まえ、社会的制裁としての公表を重視。併用は制度設計上可能だが、今回は公表を採用。
6. 監視・指導体制/相談窓口/情報公開
Q: 体制強化の方向性は。
A: 立入検査・監視の強化を図るため、監視員の増員・組織再編等を検討。早期に構築。
Q: 相談窓口は。
A: 住民不安に対応するため、終日稼働のホットライン等を検討。通報・苦情データは評価・見直しに活用し、公開性も高めます。
Q: 表示・識別の分かりやすさは。
A: 国標識は変更不可だが、届出書類の色分け等で新規・既存の可視化策を検討。住民混乱を避ける工夫を進めます。
Q: 闇民泊への対応は。
A: サイト事業者との届出突合・非掲載化の仕組みと連携し、適正化を推進。
7. 基本方針・周知・移行
Q: 区の基本方針は規制へ転換したのか。
A: 住宅活用の基本方針は不変。ただし、生活環境悪化の実態を踏まえ、適正運営の確保に重点を置く方針。
Q: 施行までの周知は十分か。
A: 検討過程の公開・窓口案内を実施。成立後は猶予期間内に、事業者・不動産・金融機関まで含め徹底周知します。
8. 評価・見直し・付帯決議
Q: 効果検証と見直しはどう進めるか。
A: 成果指標は生活環境悪化の抑止。苦情件数・施設数・地域別傾向等を多面的に分析・公開し、必要に応じ見直し。
Q: 付帯決議の要旨は。
A: 次の事項が可決されました。
- 旅館業改正:管理者不在型の運営実態・苦情・処分等を毎年度調査・検証し、議会報告と必要な見直しを行う。
- 住宅宿泊事業新条例:
- 規則・要綱の早期策定と周知徹底(不利益処分手順の明確化)。
- 監視体制の強化(監視員増員、機動パトロール、全庁連携)。
- 終日稼働の相談窓口を速やかに設置し周知。
- 毎年度の調査・検証→議会報告→必要な見直しを継続。
9. まとめ(所感)
- 本改正・新制定は、「悪質事業者は排除」ということを目指す枠組みです。
- 実効性の鍵は、常駐義務の運用、平日制限の適正適用、監視・通報・公表の一体運用にあります。
- 成果検証のため、建物種別・ユニーク通報者・地域別などの粒度あるデータ収集と公開が不可欠です。
- 周知は事業者だけでなく、不動産・金融・管理組合まで拡げ、混乱回避の識別表示(標識補助・色分け等)を整える。
次のステップ:施行までの体制整備(監視員・窓口・データ設計)を前倒しで。施行後は年次レビューを制度化し、必要に応じ速やかに改訂する運用力が問われます。
