近年、訪日観光客の増加や多様な宿泊ニーズの高まりを背景に、墨田区内でも民泊事業が急増。東京都内では23区中で2番目、全国でも4番目に多い自治体となっています。一方で、運営方法や近隣環境への配慮が不十分な事例もあり、地域の生活環境や安全面への懸念が寄せられています。
民泊をめぐる課題
議会でも指摘していますが、民泊の課題は大きく二つあります。
- 悪質な運営
騒音やゴミ出し、無許可営業などで近隣に迷惑をかける事例があります。こうした業者は、早期に指導や是正を行い、改善が見られなければ事業から退場してもらう必要があります。 - 地域住民とのすれ違い
運営者が地域に関心を持たず、周辺住民との意思疎通を図らない場合、ちょっとしたトラブルも大きな不信感につながります。

建築基準法への適合性
民泊施設として運営されている建物が、そもそも建築基準法や用途規制に適合しているかも重要な視点です。
避難経路、耐火性能などの基準を満たしていない場合、安全面で重大なリスクが生じます。区としても、申請時や指導時に建築基準法適合の有無を必ず確認し、必要に応じて是正や使用制限を行う必要があるのではないかと考えています。
悪い業者は排除、良い業者は継続
議会では、単に規制を強化するだけでなく、「悪い業者はいなくなるように、良い業者はしっかり事業を続けられる」環境づくりが重要と議論しています。
そのためには、
- 区による定期的な立入検査や情報提供
- 苦情対応や改善指導の迅速化
- 事業者への法令遵守・安全対策の周知
が欠かせません。
あわせて、適正運営を行う事業者を区として評価し、事例共有や観光施策との連携などで支援していくことも大切です。

部署横断の対応が不可欠
民泊問題は、保健・衛生分野の観点だけでなく、防災、防犯、建築、観光や経済施策など複数の分野にまたがります。
そのため、観光課、建築指導課、生活衛生課、防災担当など、部署を横断した連携体制を日常的に整えておくことが欠かせません。情報共有や一元管理ができれば、問題発生時の初動も早くなります。
条例制定の方向性
こうした状況を踏まえ、墨田区では今年度中に民泊に関する独自条例を制定する方向で検討を進めています。条例化により、区の特性や地域の実情に即したルールを明確化し、運営事業者・住民双方にとって安心できる仕組みをつくることが狙いです。
地域と共に歩む姿勢
もう一つの大きな柱が、地域との共生です。民泊は地域の中で成り立つ事業です。安全管理、防犯、防災などの面で地域と連携できれば、宿泊客にとっても安心感が増します。
具体的には、
- 町会や自治会への事業説明会
- 緊急連絡先の明示
- ゴミ出しや騒音に関するルールの共有
など、地域の生活ルールに寄り添った運営が求められます。

まとめとお願い
墨田区の民泊をめぐる議論は、規制か自由化かという二択ではありません。悪質な業者は排除しつつ、地域に溶け込み、法令を守って運営する事業者がしっかり根づく環境を整えること。それが区の観光振興と住民の生活環境の両立につながります。
条例制定に向けて、今後さらに議論を深めていきます。
区民の皆さまからも、「こうしてほしい」「これは困っている」といった具体的なご意見をぜひお寄せください。現場の声が、実効性のあるルールづくりの力になります。
