【研修報告】子どもの事故予防地方議員連盟 研修
子どもの事故予防地方議員連盟の一員として、品川区議会を訪問し、
同区で導入・運用されている児童見守りシステム 「まもるっち」 に関する研修に参加しました。

🧒 「まもるっち」の概要
「まもるっち」は、GPSと通話機能を備えた防犯ブザーです。
運用が開始されてから、20周年を迎えました。
きっかけは、2001年の大阪教育大学附属池田小学校事件。
この事件を契機に、「登下校中の児童の安全をどう守るか」という社会的課題に対応する形で誕生しました。
- 対象:区立小学校全児童 約18,000人(無償配布)
- 運営:品川区生活安全部局
- 費用:区が基本使用料(月275円/台)を負担
- 家庭ではメール通知などのオプション(約1,000円)を任意契約
- 現行機種:軽量でスタイリッシュな端末
「まもるっち」は、単なるGPS端末ではなく、「地域と行政が一体で子どもを守るシステム」として構築されています。
🛡️ 運用体制と緊急対応の仕組み
- 稼働時間:月~土の7:30〜20:00
- 対応スタッフ:委託事業者のオペレーター(3〜4名常駐)
→ 警察OBの助言を受け、冷静かつ丁寧な対応研修を実施
緊急時の流れ
- 児童が危険を感じ、防犯ブザーを鳴動
- まもるっちセンターに通話が自動接続(ハンズフリー)
- GPS情報と児童情報を確認し、同時に関係機関へ連絡
- 生活安全サポート隊(警察OB・OG/19名)
- 学校副校長・警察・消防
- 協力者(区民1,700人)へは、児童の位置情報を含むメール通知
📈 利用状況と見えてきた課題
- 年間発報件数:約9.3万件(令和6年度)
→ ほとんどが誤作動。緊急事案は14件(0.01%) - 発生時間帯:下校時間や夕方が中心
- 緊急事例:虐待・暴行・不審者対応など
興味深かったのは、新たに追加された相談機能。
防犯だけでなく、「いじめ・不登校・虐待」などに関する児童自身からの通報ツールとしての役割も果たしています。
年間200件以上の相談が寄せられ、その多くが学校や家庭との橋渡しのきっかけになっているとのことです。
つまり、「まもるっち」はもはや防犯ツールではなく、“子どもの心のセンサー” へと進化していると言えます。
🏫 品川区の安全教育の実践
- 区内全小学校で、年1回の「まもるっち安全教室」を実施。
- 鳴動訓練やロールプレイを通じて、児童が「自分の命を守る」体験を積む。
- 保護者・地域協力者・学校が一体となることで、
「地域ぐるみの見守り文化」が定着しているのが印象的でした。
墨田区でも、教育委員会と防犯担当が連携し、「子どもの命を守るDX(デジタル防犯)」の方向で検討を進める余地があります。
✍️ まとめ
「まもるっち」は20年にわたり改良を重ねてきた、地域一体型の安全インフラです。
単なる端末配布ではなく、
“誰が・どう守るのか”を制度と文化で支えている。
この考え方は、これからの墨田区の防犯・子ども施策にも非常に参考になると感じました。
引き続き、研修で得た知見をもとに、区の安全対策の充実に努めてまいります。

