テーマ:ICT標準化・DX人材評価・情報化体制・行財政改革

■ICTシステムの標準化・共通化の進捗
Q:国が示すシステム標準化・共通化の対応状況は。
A:国指定の20業務のうち、墨田区では18業務が対象。
このうち、最も大きな「住民記録管理システム」は令和6年9月末に移行完了。
全体としては概ね順調に進んでいる。
一方、残り3業務のうち2つがベンダーの事情で延期。
具体的には、
- 健康管理システム:令和9年3月移行を予定(デジタル庁に「特定移行支援システム」として申出済)。
- 障害者・高齢者福祉システム:完了年度を調整中で、明確な見通しはまだ立っていない。
Q:標準化によるコストや影響は。
A:新旧システムが並存する期間が生じ、データ連携の一部に支障が出る可能性はあるが、調整を実施中。
運用経費全体ではおおむね約2倍となる見込み。
これは標準化対応だけでなく、円安や半導体高騰による機器費上昇の影響も大きい。
指摘:国主導で一律のシステムに置き換えるだけでは、自治体ごとの実情に合わない懸念がある。
要望:標準化を契機に、庁内のデータ連携や職員間の共通理解(共通言語化)を強化してほしい。
■標準化対応後のリソース転換と人材育成
Q:標準化で費やした人・時間・コストを、今後どこに向けるのか。
A:今後は「各課の伴走支援」「人材育成」に重点を置く。
特に、職員が同じデジタル言語で話せるような“共通言語化”を進め、
組織全体でDXを推進できる体制を構築していく。
指摘:DXの本質は「人がデジタルを使いこなす力」にある。
要望:単発的な研修ではなく、庁内横断的に共通リテラシーを定着させてほしい。
答弁側の状況:継続的な職員教育とスキルマップ整備を検討中。
■職員評価制度とDX推進貢献の評価
Q:職員の人事評価制度の中で、DX推進・業務効率化への貢献をどのように評価しているのか。
A:現行制度は「業務評価」と「能力評価」の2本立てで実施している。
ただし、現時点でDX貢献に特化した独立評価項目はない。
とはいえ、ICTなどの新技術を活用し、
業務改革や新たな行政サービスを創出した職員については、
現行の評価項目の中でも「創意工夫」「組織貢献」等として評価反映が可能である。
指摘:DX推進を“チャレンジ”として評価する文化をつくらないと、
現場職員は挑戦しにくい。
要望:評価項目の中に「変革への挑戦」「デジタル活用による業務改善」などを明示すべき。
答弁側の状況:人事制度改定時に、DX貢献評価を検討対象とする意向。
■行政情報化推進体制(CIO/CISO補佐官)の強化
Q:令和6年度に強化されたCIO・CISO補佐官体制の効果は。
A:従来は契約や設計段階に補佐官が関与できなかったが、
強化後は企画段階から対面支援が可能になり、
システム仕様精査・契約交渉・費用算定にまで関与できるようになった。
その結果、あるシステムで不要な仕様を削除したことで約1,000万円のコスト削減を達成。
複数の案件で経費抑制・契約透明化の効果が出ている。
指摘:実務レベルでの交渉支援・契約改善は、行政コスト最適化の鍵。
要望:CIO補佐官制度を単なる「助言役」ではなく、意思決定に近い位置づけで継続してほしい。
答弁側の状況:専門人材の任期延長・専任化を含め検討。
■行財政改革計画とDXの統合
Q:行政情報化(DX)計画と行財政改革推進計画の関係性は。
A:今後は、DXを単独の計画としてではなく、
行財政改革計画の中に統合し、「業務・財務・情報」の三位一体改革として推進する。
DXは「業務改革の強力なツール」と位置づける。
指摘:DXを“IT化”で終わらせず、業務の再構築(BPR)と結びつけることが肝心。
要望:現場の事務改善を財政計画と連動させる仕組みを構築してほしい。
答弁側の状況:次期計画にDX統合を明記予定。
