今年の夏も連日のように猛暑日が続き、区民の健康と安全が脅かされています。気候変動の影響で、東京の夏は「危険な暑さ」が常態化しつつあり、特に高齢者や子どもを中心に熱中症による救急搬送件数は年々増加しています。もはや「毎年の出来事」では済まされず、区として抜本的な熱中症対策を講じなければなりません。

区民への対策強化を
区民が安心して夏を過ごせるように、次の施策の徹底を求めたいと思います。
- クーリングシェルターの設置
- ひと涼みスポット薬局や郵便局など、協力団体との連携
- 地域包括支援センターを通じた一人暮らし高齢者への周知徹底
また、予防啓発の面では、柔道整復師会による啓蒙活動や、学校・町会を通じて子どもから家庭へ知識を広める工夫も効果的です。身近な場所から情報が届く仕組みを整えることが重要です。
事業者支援とデータ活用
熱中症は生活者だけでなく、働く人にも深刻な影響を与えます。特に屋内作業場や外回り業務のある職種では、温度管理が命に直結します。
- 区内中小事業者への空調設備導入支援や助成制度の拡充
- 労働災害防止の観点からの勤務環境改善
- 発症データを活用した分析と対策の展開
数字に基づいた施策を打ち出すことで、より効果的な対応が可能になるはずです。
職員の安全確保
清掃職員や屋外業務従事者など、区職員もまた酷暑の影響を受けています。
- 空調服の配布
- 暑さ指数(WBGT)を活用した勤務調整
これらの施策はすでに進められていますが、まだ対象が限られており、周知も十分とはいえません。安全に働ける環境を区自らが率先して整える必要があります。
教育現場の課題
酷暑は子どもたちの教育環境にも大きな影響を与えています。夏季プール授業の中止が相次ぎ、水泳指導や体力づくりの機会が失われています。
- 学校改築計画に屋内プールや空調完備体育館を組み込むこと
- 猛暑を前提とした運動場の遮熱対策
- 学校行事と工事日程が重ならないよう、教育委員会・工事所管部署の間で認識を共有すること
10年、20年先を見据えた計画的な整備が不可欠です。
イベント開催の在り方も再検討を
従来の常識にとらわれず、行事やイベントのあり方そのものを見直す必要があります。たとえば隅田川花火大会。真夏の猛暑期開催が恒例ですが、熱中症リスクを考えれば、開催時期の見直しも選択肢に含めるべきです。他自治体では秋や初夏に移行した例もあり、墨田区としても柔軟に検討すべきだと考えます。
気候変動適応としての熱中症対策
熱中症は単なる健康問題ではなく、防災や気候変動適応の一環として捉えるべき課題です。医療、福祉、教育、地域団体が一体となった包括的な体制づくりが求められます。
墨田区が「猛暑を前提としたまちづくり」を進められるよう、引き続き議論を深めてまいります。
